『ふぉん・しいほるとの娘』(吉村昭)

ふぉん・しいほるとの娘〈上〉 (新潮文庫)
ふぉん・しいほるとの娘〈上〉 (新潮文庫)
ふぉん・しいほるとの娘〈下〉 (新潮文庫)

学び度:★★★
遊び度:★★★★

幕末にオランダ商館医として来日したシーボルトと遊女・お滝の間に生まれたお稲の生涯を描いた小説。シーボルトの来日時からお稲の死まで、幕末から明治維新の激動の時代を詳細に記述しつつ、お滝とお稲、お稲の子・タダの女3代の人生が淡々と綴られます。混血児というアイデンティティーに悩み、さらに強姦による望まぬ子を育てながら、産科医としての道をひたすら突き進んだお稲の生き方に圧倒されます。シーボルトという人物やシーボルト事件に関して知識が深まりました。

『旗本夫人が見た江戸のたそがれ――井関隆子のエスプリ日記』(深沢秋男)

旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記 (文春新書 606) (文春新書 606)
旗本夫人が見た江戸のたそがれ―井関隆子のエスプリ日記 (文春新書 606) (文春新書 606)

学び度:★★★
遊び度:★★★★

旗本夫人の井関隆子が天保11年から15年まで書き続けた日記を紹介した本。大御所家斉が亡くなり(天保12年)、水野忠邦の天保の改革が始まった時代を一個人が記録したものがあったことにまず驚きました。しかも、隆子の息子は家斉の正室担当の御広敷御用人、孫は12代将軍家慶の小納戸なので、江戸城内の情報がかなり詳しく書いてあり、実に興味深い。家斉の死亡日が幕府の公表と違っている点など、重要事項がさらりと書いてあります。

『かげろう絵図』(松本清張)

かげろう絵図〈上〉 (文春文庫)
かげろう絵図〈上〉 (文春文庫)
かげろう絵図〈下〉 (文春文庫)

学び度:★★
遊び度:★★★★★

11代将軍徳川家斉が将軍職を退いた後も大御所として君臨していた時代の江戸城を舞台にした時代推理小説。12代家慶の次の将軍擁立をめぐる、家斉の愛妾お美代の方の養父、中野石翁派と、家慶側に立つ老中、水野忠邦派との対決がメインテーマ。大奥も絡んだ様々な人間の欲望と謀略が渦巻き、息もつかせぬ展開で引き込まれました。小説としても面白いし、時代背景も把握できて一挙両得です。

《覚え書き》お龍さんの写真

お龍さん

警察の鑑定の結果、この写真は坂本龍馬の妻、お龍(楢崎龍)の可能性が高いことがわかりました。明治5年頃の撮影だそうですから、龍馬の暗殺後、再婚した後の写真かもしれません。お龍さんは66歳(明治39年)まで生きましたが、晩年はアルコール依存症だったと伝えられています。

龍馬が惚れただけあって、美しく意志が強そうな女性ですね。龍馬との結婚生活は短かったけれど、中身の濃い日々だったに違いありません。二人の薩摩への旅は日本初の新婚旅行と言われています。

『ビジュアル・ワイド 江戸時代館』

ビジュアル・ワイド江戸時代館
ビジュアル・ワイド江戸時代館

学び度:★★★★
遊び度:★★★

美しいカラー画像をふんだんに盛り込み、さまざまな角度からわかりやすく江戸時代を解説した大型本。江戸好きなら眺めるだけでも楽しめます。ただし、1万円以上するし、大型本で場所を取るので、図書館で借りてきたのが現実。こういう本を自分の本棚に並べて、好きな時に手にとって見られればいいのですが……。

『ビジュアルNIPPON 江戸時代』

ビジュアルNippon 江戸時代 (ビジュアルNIPPON)
ビジュアルNippon 江戸時代 (ビジュアルNIPPON)

学び度:★★★★
遊び度:★★★

江戸検定の副読本。絵画資料で江戸時代を読み解いたビジュアル重視の本でとても美しい。それぞれの項目を視覚から理解できるため、知識が立体的に膨らみます。でも実は、試験前に図書館から借りて済ませてしまいました。購入して手元に置いておきたい気持ちはやまやまですが、4000円以上するので気軽に手が出せません。次回の試験前にまた考えます。

『お江戸でござる』(杉浦日向子)

お江戸でござる (新潮文庫)
お江戸でござる (新潮文庫)

学び度:★★★
遊び度:★★★★

かつてNHKで放送されていた番組「江戸でござる」で、杉浦さんが担当していた「おもしろ江戸ばなし」という名物コーナーをテーマ別にまとめた本。実は私、このテレビ番組が放映されていた頃は江戸にとくに興味がなかったので見たことがなく、とても悔やまれます。口語体でまとめられたこの本はわかりやすくて面白いけれど、杉浦さんのお話を聞きたかったなぁとしみじみ思います。

『杉浦日向子の江戸塾』(杉浦日向子)

杉浦日向子の江戸塾 (PHP文庫)
杉浦日向子の江戸塾 (PHP文庫)

学び度:★★★
遊び度:★★★★

宮部みゆき、北方健三、山崎洋子&田中優子、石川秀輔、高橋義夫、各氏と江戸の魅力を語り合った対談集。浮世絵や写真を盛り込み、語句の解説を加えて、対談集がそのまま江戸案内になっています。何を問われても、即座に答える杉浦さんの知識量に感服。知識というより血肉になっているようです。あの宮部さんが師匠と読んであこがれていたくらいなので、やはりただ者ではありません。

『一日江戸人』(杉浦日向子)

一日江戸人 (新潮文庫)
一日江戸人 (新潮文庫)

学び度:★★★
遊び度:★★★★★

江戸の風俗、衣食住、色男と美女、大奥と将軍、春画などあらゆるものをイラスト付きで解説した江戸案内書。杉浦さんが惚れこんだ江戸の楽しさ、面白さがダイレクトに伝わってきて、誰もが江戸に行ってみたくなること請け合い。漫画家で江戸風俗研究家という利点が最大限に生かされた本です。

『江戸アルキ帖』(杉浦日向子)


江戸アルキ帖 (新潮文庫)

学び度:★★
遊び度:★★★★★

毎週日曜日、タイムマシンに乗って江戸めぐりをした作者の絵日記。いや、そういう設定で書かれたスケッチ付きエッセーですが、とにかく楽しくて杉浦さんの本の中で一番のお気に入りです。時代考証や風俗は当然ながら正確だし、絵も文章も一級品。杉浦さんの早世が本当に惜しまれます。江戸に終身滞在が認められたのかもしれない、そんな気持ちになります。

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Author:葵
江戸検定1級を目指しています。

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